Pipe Organ
目 次
パイプオルガンの歴史
パイプオルガンの最古の記録は紀元前200年頃のものとされています。
それによると紀元前264年頃、アレキサンドリア人のクテシビオスという人が、ヒュドラウリスという水力によって空気を送り込む「水オルガン」を発明したとあります。
この楽器は現在のオルガンと違って、とても小型で持ち運びが可能でした。
そして風の亜知力を調整するのに、水栓の圧力を利用するものでした。
ヨーロッパで最初のオルガンは、757年に作られました。
東ローマ帝国のコンスタンチヌス大帝が、フランク王国のピピン大帝に寄贈したものと言われています。
当時は電気がなかったので「ふいご」と呼ばれる、風を送るものを人力で操作していました。
ある記録では「男達が腕を使って汗だくになってふいごを操作した」とあります。
オルガンを演奏するのも一苦労だったようです。
オルガン文化の全盛期は17世紀から18世紀前半。
特に北ドイツで新教が大オルガンを建造し、競い始めるようになりました。
現在もオルガン建造の巨匠とされるアルプ・シュニットガ-やジルバーマン兄弟が活躍したのは、この時代です。
時代が進むにつれ、鍵盤の数が2段3段と増えていきました。
はてには5段鍵盤も現れ それに伴いパイプの数も増え、オルガンは段々と巨大化していきます。
そうした流れの中、1870年頃には人力からモーターの力に置き換えられていきます。
ガスモーター 蒸気モーター そして1900年以降電気モーターへと移り変わってきました。
現在では、再び古い時代のオルガン建造技術が尊重されるようになり、歴史的楽器の本来の音に近づけ、慎重に修復や複製が行われています。
パイプオルガンの構造
オルガンの構造を大きく分類すると
1.演奏台
2.送風機構
3.送風制御
4.パイプ
この4つに分けることが出来ます。
1.演奏台(コンソール)
まず鍵盤ですが、手鍵盤と足鍵盤(ペダル)があります。
よく見られるものに手鍵盤の色が黒鍵白鍵ピアノとは逆のものがあります。
これは、当時白鍵の材料となった象牙は、とても貴重なものでした。
そこで、数の少ない、ピアノで言う黒鍵の部分を白鍵にし、逆にしてつくられたそうです。
ペダルは、両足のつま先とかかとの、4つのポイントを駆使して弾きます。ですから、大抵専用のオルガンシューズを履いて、演奏します。
手鍵盤の横には、ストップと呼ばれる音栓があります。これで音を選びます。
他にもいくつかの、演奏するための補助装置があります。
まず「カプラー」。
これをセットすると、鍵盤と鍵盤を連結させることが出来ます。
Ⅰ-Pのカプラーをセットすれば、ペダルを弾くだけでペダルの音と、第一鍵盤の音が鳴ります。
次に「スウェルペダル」。
これは、音の強弱をつける装置です。
このペダルで、オルガンの扉の開閉を操作して、中にあるパイプの音量を調節します。
そして「トレモロ」。
これを入れると、音が波打っているような効果が出ます。
最後に「コンビネーション」。
ストップの記憶装置です。
演奏に適切なストップの組合せを、前もって記憶させておきます。
そうすることで、演奏中はスイッチ1つで音色を変えることが出来るという、賢い装置です。
2.送風機構
オルガンは気鳴楽器ですので、風がなければ音は出ません。
電気ではなく人力で音を出していた頃は「ふいご」(アコーディオンのジャバラの部分の様なもの)で風を送っていました。
現在は、電気送風機構が使われています。
3.送風制御
ここで、音色や音の高さを決めます。
鍵盤が押されたときに弁が開き、パイプに風を送り込む仕組みになっています。
送られてくる風を調整して、演奏する人の思った通りのパイプに、風を導くところです。
4.パイプ
パイプオルガンというからには、当然なくてはならないパイプです。
主に錫と鉛の合金や、木材で作られています。
パイプの発音構造は、大きく分けて2種類あり、、フルー管とリード管に分けられます。
フルー管はリコーダーと同じく、歌口により発音します。
リード管はクラリネットと同様に、一枚リードの構造で発音します。
素材や形によって、パイプからは色々な音を出すことが出来るのです。
ですからパイプオルガン1人で、その中に大小さまざまな楽器を持っている、と言ってもよいでしょう。
パイプオルガンの奏法
パイプオルガンが楽器の女王、ピアノは楽器の王と称されています。
同じ鍵盤楽器に分類されますが、奏法はかなり異なります。
パイプオルガンの構造は〈構造)をお読みいただくと、ご理解頂けると思います。
ではピアノはどうでしょう?
中をご覧になったことはありますか?
アップライトピアノ(縦型ピアノ)と、グランドピアノでは、弦の張が異なります。
しかしどちらも、音は弦をハンマーで叩いて出しています。
ピアノは鍵盤を叩いて音を出すので 打楽器と同じ様に強い音、弱い音で表現することが出来ます。
すなわち強弱を付ける事によって、音楽を表現していくのです。
一方パイプオルガンは、パイプに空気を流して音を発していくので。ピアノとは異なり管楽器です。
ですから鍵盤を優しく打鍵しても、激しく打鍵しても。音のボリュームは変わりません。
強弱を表現するにはストップを加減したり 何段にも分かれた鍵盤を使い分けたり、スウェル・ペダル(構造参照)を使用していわば人工的に表現します。
奏者独自による各音の持続時間の長さの表現が、パイプオルガンにおける強弱を意味付けるものであり、その微妙な表現は奏者それぞれの個性としても捕らえられるでしょう。
パイプオルガンの音質
パイプオルガンとピアノは、どちらも鍵盤楽器ですので、一見すると鍵盤楽器を弾くことができれば、どちらの楽器も同じように演奏することが可能だと思われることでしょう。
しかし、音質は全くことなります。そして、発せられる音質が違うということだけではなく、その音質の違いをしっかりと理解して演奏することや、奏法を熟知して演奏しなければなりません。
演奏者は、それぞれの音質にあう曲を、それぞれの音質にあった奏法で演奏しているのです。
パイプオルガン、ピアノのそれぞれの音質、特性を理解しないで演奏すると、
聴き手は違和感を覚えたり、興味を失ってしまうことにも繋がりかねません。
パイプオルガンとピアノの音質について、詳しくまとめました。
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